金沢片町商店街周辺の引き札紹介

   引き札 (ひきふだ)は、江戸、明治、大正時代にかけて、商店、問屋、仲買、製造販売元などの宣伝のために作られた広告チラシです。当時は、紙や印刷物がかなり普及して、価格的にもまた見栄え的にも、広告チラシとしての価値が備わってきたので普及したのでしょう。現在では、昔の味わいが色濃く出ていて、レトロな面白さがあります。

 ここに、明治中期から大正の引き札をお見せしたいと思います。金沢市の片町商店街などの商店街の人たちのものですが、この引き札の中に、商売人の心とか先輩たちの力強い意欲を感じていただければ幸いです。

 また、当社(株)土谷九兵衛商店の本店所在地は今も金沢市片町にあり、そして現在は「雑貨九兵衛」として商い中。


引き札 土谷九兵衛商店
土谷九兵衛

 

土谷九兵衛

 

やはり当社のものから見ていただきたいと思います。信州などから麻を仕入れて、網や麻糸にして、販売していたものです。たぶん明治30数年あたりのものではないかと思います。世界文化遺産になった富士山が花を添えていただきました。

サイズ 260X370     



越野商店
越野商店

 

越野商店

 

呉服屋さんで綿織物などの肌着なども販売していたものと思います。明治41年のお正月用に製作したものです。

サイズ 370X520

 

 



関砂糖店
関砂糖店

 

関砂糖店

 

金沢市片町のスクランブル交差点の関ビルです。今はテナントビルでありますが、そのまま関さんが経営を続けています。この引札は少しかたがって印刷されていますが、当時としては別に問題はないことだったのでしょう。

サイズ 260X370



高木商店
高木商店

 

高木商店

 

明治38年のお正月用に作られたものです。図柄は「繁盛の基」が書いてあります。信用と堪忍袋に鍵を閉めること、そして責任感を持ってよく働くことでしょうか?今も変わらないのです。場所は今の東急109の用水沿いあたりでしょうか。

サイズ 260X370

 



各社協賛タイプの広告
各社協賛タイプの広告

 

各社協賛タイプの広告

 

20数社が広告を一堂に出したものです。今でも存在する会社名があります。現在はこんな形の広告チラシはないと思います。

サイズ 270X400



小泉商店
小泉商店

 

小泉商店

 

化粧品や婦人用の商品そして煙草も売っていたようです。煙草の値段表が印刷されてます。明治40年のものですが、図柄ではきれいなご婦人が煙草を吸っています。この時代にこんな広告で大丈夫だったのでしょうか?片町のAPAホテルの向かいあたりにあったお店です。

サイズ 260X380



常磐楼
常磐楼

 

常磐楼

 

今の香林坊大和のあたりでしょうか、牛や鶏肉の料理店があったようです。どんな料理を出したのでしょうか?食べに行きたいですね。

サイズ 260X370

 

 



森田本店
森田本店

 

森田本店

 

材木町のお菓子屋さんです。明治39年のものです。当時は日露戦争が終結したところで、図柄の中に軍事的なものがよくでできます。大山大将も日露戦争で活躍した人です。

サイズ 260X370



扇子嘉平
扇子嘉平

 

扇子嘉平

 

当社の隣にいた方です。足袋とか下着みたいものを売っていたのでしょうか?今は、もつ鍋の「うさぎ」になっています。

サイズ 260X370



嶋村明七、金八
嶋村明七、金八

 

嶋村明七、金八

 

竹細工のお店です。兄弟でしょうか、片町周辺に2店あります。明治40年のものです。弟の金八の「八」が間違っていたのでしょうか?今だったら、印刷屋に返品ですね。

サイズ 260X370



内國通運株式会社
内國通運株式会社

 

内國通運株式会社

 

時刻表付きで横長ですごく大きいものです。鉄道の輸送が最盛期か、最盛期に近づいていくときの勢いを感じます。

サイズ 400X1070

 

 



平野松太郎
平野松太郎

 

平野松太郎

 

呉服、綿製品を売っていたのでしょう。片町の近くの新竪町のお店です。この中では、一番小さな引き札です。

サイズ200X310

 



堀他商店
堀他商店

 

堀他商店

 

八百もの、乾物屋さんです。今も中央市場や大和デパートにお店があります。明治38年のものですが、引き札に日露戦争の影が色濃く出ています。

サイズ 260X370



木下商店
木下商店

 

木下商店

 

木綿の織物の一種らしいです。材木町にはいろんなお店がありますね。

サイズ 260X370



北國屋三次郎
北國屋三次郎

 

北國屋三次郎(群馬県

 

群馬県の野州麻の麻問屋さんです。たぶん、当時はわが社の仕入れ先で野州麻を買い、金沢で加工して商いをしていたものと思います。明治34年のものです。群馬県には海がないのに、海の図柄の引き札とは面白いと思います。

サイズ 370X520



中上合名會社
中上合名會社

 

中上合名會社

 

魚、鳥の干物を販売しています。犀川大橋づめの山側にあったようです。

サイズ 260X370



 

中上次三郎

 

生菓子屋さんです。上欄で説明した「中上合名会社」と同じなのか、違うのかはわかりません。明治37年のもので軍事色の強いものです。

サイズ 370X520


中上次三郎
中上次三郎

 

 

 サイズ 550X380



 

千田勘右衛門

 

呉服店です。当時片町には大きな呉服店が4店あったということです。なべや呉服店、小川屋呉服店、疋田呉服店と並んで繁盛していたようです。明治22年のものです。まだ金沢区となっています。市制になったのは明治23年ということです。

サイズ 360X250

 

 

 

 


 

 

サイズ 260X370


千田勘右衛門
千田勘右衛門

 

 

明治26年のものです。

サイズ 260X380



井村吉平
井村吉平

 

井村吉平

 

大和デパートの前身です。明治22年のものですので、金沢区となっています。

サイズ 360X250

 



供田平次郎
供田平次郎

 

供田平次郎

 

お菓子屋さんです。今の片町ソフトバンクあたりにあったものと考えられます。

サイズ 500X360



信清堂筒井店
信清堂筒井店

 

信清堂筒井店

 

印刷屋さんと思いますが、石鹸も作っていたようです。上欄の供田平次郎と図案は同じで、文字だけそれぞれに印刷したものです。印刷物が高価なので、このように図案の同じものがたくさんあるのではないかと思います。

サイズ 500X360



近廣堂
近廣堂

 

近廣堂

 

近江町にある引き札の印刷屋さんです。ここの引き札の中に近廣堂さんのものがかなりあります。あとは大阪の印刷所のものが多いようです。引き札の印刷も競争が激しかったようです。

サイズ 520X370



高松吉右衛門
高松吉右衛門

 

 

高松吉右衛門

 

野町の紙商屋さんです。私の親戚の家です。明治38年のものです。

サイズ 520X370

 

 



漆矢多美吉
漆矢多美吉

 

 

漆矢多美吉

 

漆商。明治26年のふるいものです。片町のどのあたりで商売されていたのか、わかりません。

サイズ 500X360



 

松川栄太郎

 

魚や鳥の干物を売っていたようです。片町の近くの木倉町にあります。既出の犀川橋詰の「中上合名会社」と競合していたものでしょうか、それとも時代が違うのでしょうか?サイズはかなり大きめです。

サイズ 750X520

 

 


松川栄太郎
松川栄太郎

 

 

サイズ 260X370



地蔵餅中村屋
地蔵餅中村屋

 

地蔵餅中村屋

 

現在の香林坊アトリオあたりにあったお菓子屋です。今の片町センターあたりにあった「石川屋」と並んで、若者に人気のお店だったようです。大正4年のもので、このころには第4高等学校もあり、人通りも多くなってきたようです。

サイズ 380X250



田井吉兵衛
田井吉兵衛

 

 

田井吉兵衛

 

紙商の田井屋さんです。片町に以前とまったく同じ場所に土地は所有していますが、貸しビルになっています。明治24年のものです。

サイズ 490X360



湯出仁平
湯出仁平

 

 

旅館湯出仁平(片山津温泉)

 

明治36年のもの。図は片山津温泉の風景でしょうか?すごく旅館が混んで建っています。

サイズ 370X260

 

 



北村鉄三郎
北村鉄三郎

 

 

北村鉄三郎

 

大工町の呉服屋さんです。

サイズ380X260



堀商舗
堀商舗

 

 

堀商舗

 

字が読めません。何屋さんなのでしょうか?

サイズ 400X280

 

 



大阪名物
大阪名物

 

(おまけ)

大阪名物

 

明治30年のもの。

サイズ 190X250


中央新聞附録
中央新聞附録

 

 

(おまけ)

中央新聞附録。

 

明治24年8月16日発行。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

これで終了です。ありがとうございました。